研究概要 |
近年における細胞工学的手法の進歩はめざましく,DNA組み替えによるrecombinant IL2,更にモノクローナル抗体の作製も可能となった. 本研究においては我々が作製している肺癌に特異的なヒト型モノクローナル抗体並びに recombinant IL2によるLAK細胞を用いた受動免疫学的手法による肺癌の診断並びに治療に関する検討を行った. LAK細胞の自家および他家腫瘍細胞に対する細胞障害活性の研究では,末梢血および所属リンパ節細胞をIL2で活性化したもの,およびそれらのLAK細胞を自家腫瘍細胞で感作したものの活性を比較すると自家腫瘍細胞で感作したものは前二者に比し高い細胞障害活性が認められた. LAK細胞による肺癌絶対的非治癒切除例または再発例のPhase 1 studyでは3×10^8〜3.7×10^9個の投与で発熱,悪寒戦慄,呼吸困難,軽度血圧低下がみとめられた. 注目すべきは癌性胸水例の胸腟内投与および腫瘍内局所投与で腫瘍負荷の減少が認められたことである. 一方ハイブリドーマ法によるモノクローナル抗体に関しては肺扁平上皮癌に特異性のあるヒト型モノクローナル抗体(IgM)の作製の成功した. このモノクローナル抗体4G12は安定して長期にわたり産生されており,その認識抗原は癌細胞膜の糖蛋白と考えられた. I^<131>を標識した4G12による腫瘍イメージングを現在までに4例に施行し,腫瘍に若干のRIの蓄積を認めた症例もみられている.
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