研究課題/領域番号 |
62440058
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
北条 俊太郎 帝京大学, 医学部, 助教授 (70133072)
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研究分担者 |
辻田 喜比古 帝京大学, 医学部, 講師 (50163803)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
佐野 圭司 帝京大学, 医学部, 客員教授 (20009880)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | BUdR / labeling index / 神経膠腫 / 脳腫瘍成長解析 / 放射線療法 |
研究概要 |
BUdRと抗BUdR単一クロ-ン抗体を用いて、組織内のS期細胞を免疫組織学的に染色し、L.I.(labeling index)を測定、腫瘍の成長解析を行う方法を臨床脳腫瘍および実験腫瘍に応用した。1)gliomaのL.I.の検討では臨床悪性度との相関が明らかとなった。すなわちL.I.が5%以上の症例では再発までの期間が平均9ヶ月、3-5%では14.5ヶ月であり、3%未満ではさらに長期間再発がみられなかった。また病理組織学的分類とL.Iとの関係もあきらかである。各subtypeにおけるL.I.の平均値はglioblastomaで8.5%、anaplastic astrocytomaで4.2%、well-differetiated astrocytomaで1.2%であった。これらの結果は従来のtritium thymidineを用いた報告と一致するが、本測定法ではアイソト-プを使用しないため、臨床でも容易に実施でき実用的である。2)glioma以外の脳腫瘍では転移性腫瘍、細胞腫瘍、脈絡叢乳頭腫などで高いL.I.が認められた。また髄膜腫の症例の一部でL.I.が10%を越えるものがあった。3)病理学的な検討では、腫瘍組織内のS期細胞の分布が不均一であることがわかった。血管周辺や腫瘍塊の周辺部にはS期の腫瘍細胞が高率に存在した。このパタ-ンは転移性腫瘍や悪性リンパ腫で特に著名であった。腫瘍細胞以外に血管内皮細胞、線維芽細胞、リンパ系の細胞にもBUdRの取り込みが認められ、免疫反応や間質系の増殖が平行して起こっていることがわかった。4)rat実験脳腫瘍による検討では、腫瘍の辺縁部で25%、中心部で15%とL.I.の差があきらかとなった。放射線照射がL.I.におよぼす影響を検討した。10Gyは照射後1日で腫瘍の辺縁部、中心部ともにL.I.は10%まで低下するが、その後7日間でもとのレベルまで回復した。
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