研究概要 |
1)31P・NMRを用いて, 虚血状態におかれた骨格筋の代謝過程を測定し, 阻血解除後の回復過程を調べ, 骨格筋のエネルギー代謝に非可逆的な変化が生じる阻血時間について検討した. ラットを用い, 以下2群の実験を行った.第1群では, Pcrの減少とPiの増加が生じ, Pcrスペクトルが阻血後3時間30分前後でまず消失し, ATPスペクトルは約5時間で消失した. Piスペクトルのみがその後も認められた. 第2群;4時間阻血では, 全例でPcrとATPのスペクトルは回復した. 5時間阻血では回復率は57%で, 6時間阻血では回復率は, 0%であった. 2)ラットを用い, 人工呼吸下坐骨神経の電気刺激による, 骨格筋の疲労に対する酸素の影響については, 吸気酸素濃度,1群:20%ー20%,2群:20%ー40%,3群:40%ー40%の下で, 刺激前から回復30分まで下腿三頭筋部のリンNMRスペクトルをみると, 刺激中ではPi/Pi+Pcrが1群と2群では0.7に達したが, 3群では0.3にとどまった. 回復期では, 2群および3群は, Prc,PHともに回復したのに対し, 1群では完全な回復は認められなかった. 3)少年野球(9才〜12才)の実態は, 92チーム899名中, V線検査を行った135名の, 91.8%に異常(上腕骨小頭障害9,内上果障害89,その他26)を認め, 少年サッカー(7才〜12才)では, 95チーム,1377名中,V線検査を行った膝部101名の72.3%に異常(分裂膝蓋骨21,ラルセン・ジョハンソン16,オスグッド10,その他26)を認め, 腰部74名の72.9%に異常(分離症31,椎間板狭少11,陥凹椎体22)を認めた. 4)動作分析より各障害部位には, 非生理的可動性の要請が明らかにされ, これらの繰り返しが骨端部を主体とした障害要因に密接していると考えられた.
|