研究概要 |
各種麻酔補助薬, 特に人為低血圧麻酔に用いられる各低血圧薬と密接に関連する肝臓,腎臓の血流量および酸素消費量について検討した. 1.肝循環及び肝酸素消費量に対するトリメタファン,ATP,NTG3者の比較, 今回は同一犬に各低血圧薬を投与し, その投与順番を変えることで動物の状態, および実験時間による影響を少くして検討した. 実験に当り交感神経遮断のトリメタファン投与で, ヒスタミン放離によると思われる急速な予定以下の血圧低下により血圧維持出来ず失った例も多く, 現在は予定投与量の5倍に希釈した0.02mg/mlを徐々に投与し血圧の維持につとめている. また, 当初予定した門脈へのカニューレションは脾静脈から行っていたが, 出血のトラブルが多く, 現在は十二指腸静脈よりカニューレションを行い成功している. 実験結果としては, 症例が少く統計処理は行っていないが, 血圧60mmHgでは肝動脈血流量は三者とも低下し, 門脈血流量はATPでは上昇, トリメタファンで低下, NTGでは変化少く, 肝酸素消費量ではATPで増加, トリメタファンで低下する傾向がみられた. 今後 症例と重ね更に血圧40mmHgについても検討する. 2.低血圧麻酔下でのウリナスタチンの腎保護作用 低血圧麻酔の合併症の1つである腎障害, 特に, 術後の尿量低下に対する蛋白分解酸素剤ウリナスタチンの効果をイヌで検討した. 血圧をトリメタファンにより対照値の50〜60%に1時間維持した. 腎血流は対照値では有意に低下したが5万/kg/h/ウリナスタチン投与群では変化なく,尿量は尿群共有意に術中低下したが, 回復時両群共対照値まで戻らなかったが, 対照群に比べウリナスタチン投与群で2倍以上の尿量の排泄がみられた.
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