研究概要 |
今年度は男子不妊症例の内泌学的背景よりの病因研究の一環として睾丸性Estrogenに注目し, 臨床的研究を行った. 〈1〉睾丸性Estrogen分泌予備能を検査する手段としてhCG(human chronic gonadotropin)10,000単位を筋注し, 筋注前と筋注24時間後の血中Estrodiol(E_2)/Testosterone(T)比の分析を行ったところ, E_2/T上昇率が3.5以下の群が治療に対する反応が高いことが明らかとなった. このE_2/T上昇率に関し, さらに詳細に検討すると, Tの上昇率(T^<24>/T^0)は差を認めないが, E_2の上昇率(E_2^<24>/E_2^0)に於いては差を認め, 今後arometase活性に関しての検討が必要と思われた. 〈2〉また血中LH13.5mIU/ml以下の群で特に治療に対しての反応が高い傾向を認めた. そのLH値の意義を検討するため正常男子43例を対象とし, LHの正常範囲を詳細に調査したところ, 今まで報告されている正常値よりかなり幅の狭い8.5〜13.5mIU/ml(mean±1S.D.)であることがわかった. すなわち不妊症の治療反応群がLeydig細胞機能不全のないLH正常群であることが示されている.
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