研究課題
63年度研究は前年度の各種サイトカインの抗腫瘍性の検討を基に担癌実験動物腫瘍の作成と、各種サイトカインのこれら実験腫瘍に対する抗腫瘍性を検討するとともに腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の自己腫瘍に対する抗腫瘍性ならびにサイトカインによる抗腫瘍効果増強を中心に実施した。マウス線維肉腫細胞(Meth A)において、ILー2とシゾフィラン(SPG)の併用によるTILの最も強い抗腫瘍性が認められ、lymphocyte activated killer(LAK)活性の誘導が示唆された(丸茂)。一方マウス可移植腎癌細胞KUー2に対してTumor necrosis factor(TNF)は強力な抗腫瘍性を示し、この効果はacyinomycinーDにより相乗的に増強された(出口)。ラット可移植膀胱癌BCー47においてもTILに強い抗腫瘍性が認められTILのpurificationにより単球あるいはマクロファージ様細胞に最も強い抗腫瘍性が存在することが確認された(橘)。これらTILの抗腫瘍性を増強する目的でTILとILー2、Interferon(INF)およびILー1の単独あるいは併用による検討がなされ、現時点でILー1とILー2との併用により最も強い抗腫瘍効果が認められている(出口、馬場)。またこれらTILとリンフォカインとの混合培養により各種サイトカイン産生誘導が確認されており、これら内因性サイトカインの抗腫瘍性を検討中である(田崎)。またこれら知見を基に、進行性腎癌、前立腺癌・膀胱癌に対するリンフォカインによる治療が試みられている(田崎)。以上の研究成果は尿路性器癌増殖抑制にリンフォカインおよびTILは相互的に関連し増強していることを示していると考えられる。
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