研究概要 |
1.ヒトインヒビンの精製システムの開発 ウシのインヒビンの単クロ-ン抗体を用いてウシ卵胞液中のインヒビンを大量に精製することが可能となった。そのインヒビンをヤギに免疫し,高力価の多クロ-ン抗体を大量に生産することができた。この抗体を用いて免疫吸着クロマトを開発しヒトインヒビンの精製に応用することが可能となった。ヒト卵胞液を免疫吸着クロマトをはじめ種々のHPLCシステムを用い天然のヒトインヒビンを世界で初めて精製した。ヒトインヒビンの分子量は34KDaと29KDaの2種類あり,さらに30KDaと26KDaのα鎖の前駆体が存在することを証明した。ヒトの卵胞液中のインヒビンはAタイプであった。一方,ヒト精巣から得たライブラリ-を基にクロ-ニングしたヒトインヒビンのDNAを組み込んだCHO細胞によって発現するインヒビンはインヒビンBであった。このリコンビナントインヒビンBも免疫吸着クロマトにより精製することができた。 2.卵巣におけるゴナドトトロピンレセプタ-のクロ-ニング 最近ラットの精巣中のFSHのレセプタ-がクロ-ニングされたので、そのcDNAをプロ-ブとしてラット卵巣のFSHレセプタ-をクロ-ニングすることに成功した。さらにヒト卵巣のLHレセプタ-のCDNAを得ることができた。これらのゴナドトロピンのレセプタ-に共通していえることは、1)G蛋白貭結合レセプタ-の特徴である7回の膜貫通部位を持つ、2)細胞外部位の長いN末端を持つ、3)共通のシスティン残基が存在する,4)Nーlinkの糖鎖の結合部位が存在することである。 以上のように本研究費の交付により、下垂体一卵巣系の調節機構を分子レベルで解明することができた。
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