視神経乳頭アナライザ-(ONHA)による正常眼の測定結果は乳頭面積2.35±0.41mmAA2BB、RIM面積1.55±0.41mmAA2BB、陥凹面積1.35±0.35mmAA2BB、陥凹容積0.42±0.22mmAA3BB、C/D比0.51±0.15であり、乳頭面積とRIM面積との間には有意の相関がみられた。このことより正常眼では乳頭の大きさに関係なくRIM面積は一定であるという従来の説は誤りで、RIM面積は乳頭の大きさにより変化する事が判明した。正常眼、高眼圧症、初期緑内障の間には各パラメ-タ-とモ正常眼との間に有意差が認められたが、乳頭面積3.0mmAA2BB未満の例では各値の分散が大きく、三群間の重複が大きかった。これに対し乳頭面積3.0mmAA2BB以上の例では各値は正常眼と他の二群との間に重複を示さず、この事実から乳頭の大きいものほど眼圧に対する易障害性が高い可能性が考えられた。乳頭陥凹の深度について測定してみた結果、正常眼0.42±0.10mm、高眼圧症0.47±0.10mm、初期緑内障0.51±0.13mmで、高眼圧症、緑内障で乳頭陥凹は有意に深く、網膜神経線維層の欠損のない高眼圧症やあっても極くわずかな初期緑内障でに乳頭陥凹の深度が増加していことは緑内障の視神経乳頭障害の原因として考えられる強膜篩板の層状構造の変形説を支持すると考えられる。視神経乳頭の垂直方向の乳頭陥凹の形状分析では円錐型、高眼圧症で台形、緑内障で二峰性が最も多く、この事から乳頭陥凹は緑内障の進行とともに円錐型から台形ついで二峰性へと変化すると考えられた。生理的視神経乳頭陥凹拡大例ではRIM面積は正常範囲にあり、乳頭面積が大きいため陥凹が拡大しているものと考えられた。RIM面積の減少と視野障害出現との関係を見ると、視野障害出現前にRIM面積0.37mmAA2BBの消耗が認められた。
|