研究概要 |
エキシマレーザーは, 組織の分子を分解, 切断することが可能であり, 眼科領域での応用として, まず角膜切開に使用した. 今回は基礎実験として, 家兎眼を使用し, エキシマレーザー照射後の切開創について組織学的に検討を行った. 装置および方法:Lambda physic社製エキシマレーザー装置Model EMGー102MSCを使用し, レーザー媒質としてArFを用い, 193nmのレーザー光を発振させた. 同時の発生した弗素ガスおよびオゾンの排気, 紫外線の防護など安全対策を施設した. 実験は家兎眼を固定し, ビームをスリット状にして, 照射条件を変えて照射した. 照射後直ちに角膜を摘出し, 切開創を肉眼的, 組織学的に検討した. 結果:切開創はスリット幅に応じ平行で, 標準照射条件はノパルス240mT, 50〜100Hz, 5〜15SeCで, その深さはレーザー出力に比例していた. また切開創周囲の組織には殆んど変化を認めなかった. エキシマレーザーは, 組織の分子を熱作用無く, 分解切断することが可能であり, 極めて鋭利な切開がえられ, 切開創の深さも照射条件を変えることにより調節が可能で, 臨床応用の可能性が大きい. 現在, 照射部に接続する光学系も試作を完了し, さらに臨床応用に向けて, 安全性の検討を含め, 実験を進める予定である.
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