研究概要 |
本研究は咬合異常が顎関節や筋の症状に如何に関係しているかを明らかにすることを目的として行われているもので, 臨床的研究と実験的研究とから成る. 62年度の実績は以下の通りである. 1.臨床的研究:これは1970年以降の顎機能異常者の診査, 治療記録を整理し, 1)顎関節,頭頚部筋群の触診で圧痛があった部位の相互関係,2)顎関節,頭頚部筋群の圧痛部位と症状との対応関係,3)咬合状態の診査結果を咬頭嵌合位,歯の接触の各異常に分類,4)顎関節,頭頚部筋群の圧痛と咬合異常との関係,について分析するものである. 現在まで行われたのは資料の整理と電算機への入力もほぼ終了して1)の各部の相互関係,2)の対応関係などを検討するためのソフトも完成した. 1)については目下分析を始めているが,概して部位的に近いものに関連性がみられる. また顎二腹筋後腹,胸鎖乳突筋停止部が比較的他との関連性が高い傾向があるなどの結果が得られた. 2.実験的研究:これには2つの実験が計画されている. 1)咬頭嵌合位における早期接触の影響に関する実験的研究:咬頭嵌合位で早期接触となるよう天然歯列者で第1小臼歯から第2大臼歯までの咬合面に微小突起を順次付与し,その後の筋活動の変化を測定して突起に部位によってどのような差違が生じるかを検討している. これまでに突起の付与の仕方,咬頭嵌合位での早期接触となりうる突起の大きさ等について検討し,0.1mmの高さで鋳造による可撤性のものがよいことが確められた. またこの方法に基づいて筋活動を記録したところ,最大咬みしめを行わせたとき突起が後方歯すら前方歯に移るに従って筋活動量が小さくなる傾向がみられた. 2)側方運動時の最後方歯における咬頭干渉の影響に関する実験的研究:これについては最後方歯に付与する咬頭干渉の大きさ,その設置方法,また運動の記録方法について検討中である.
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