研究概要 |
口腔粘膜疾患の臨床統計および難治性口腔粘膜疾患の臨床病態分析を一部で開始した. たとえば口腔白板症については,教室における過去22年間の口腔白板症252症例において扁平上皮癌への悪性化が11人12病変にみられ,部位別では舌8例,口底2例,頬粘膜および口蓋が各1例であった. 白板症の1次治療よる悪性化までの平均は5年9ヶ月で,最短2年1ヶ月,最長17年であった. 臨床病型でみるとhomogeneous type178例中2例(1.1%),Speckled type 74例中9例(12.2%)が悪性化した. 口腔粘膜疾患の兔疫遺伝学的研究は兔疫が関与すると考えられる疾患と兔疫応答遺伝子や兔疫抑制遺伝子を含むと考えられるHLAとの相関について文献的考察を行った. ベーチェット病ではHLAーB51との相関が報告され,DR5やDRW6との相関もいわれているが,眼症状型と皮膚粘膜型との相異や人種差もおることから,再発性アフタでどのようなタイプがベーチェット病に移行しやすいか検討の必要がある. シェーグレン病の免疫血清学的検索では,高IgG値が高率にみられ,RA陽性80%,抗SSーA抗体,抗DNA抗体を高率であった. インターロイキン2(IL2)活性化キラー細胞の抗原認識レセプターを解析する目的で,特異的なアロキラーCTLクローンおよびMHC抱束性のないAKクローンを樹立した. CTLクローンはWT31^+CD3^+のT_<αβ>であったが,AKクローンはT_<αβ>と共にWT31^-CD3^+のTγδもみられた. CTLクローンとT_<αβ>AKクローンではWT31,OKT3の添加で作用は抑制されたが,非感受性標的細胞では逆にキラ作用が増強した. TγδAKクローンではWT31では影響なく,OKT3で抑制あるいは増強した. またAK活性は抗LFAー1抗体によって顕著に抑制された.
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