研究概要 |
既に確立されているin vitro遺伝子組換え系を使って、減数分裂細胞抽出物中にDNA組換え活性をもつ蛋白(Recombinase)の存在が確認されている。本年度も引き続きRecombinaseの精製を試みた。そのN端12ケのアミノ酸配列を決定しさらに必要な量的精製を続けている。他方この酵素と基質DNAの種類について検討し、ユリ花粉母細胞核DNAのうちzygoDNAと呼ばれるグル-プのDNA,肝炎ウイルスの組換えHot spotのDNA部分を基質プラズミドDNAに挿入し、組換え頻度の上昇をみた。 他の塩基配列やオリゴヌクレオチドでは頻度に変化がみられなかった。2つの基質DNAの一方は閉環型ねじれDNAを必要とするが他方は直線状2重鎖DNAでもDNA組換えアッセ-ができる。直線状化する時に測定する遺伝子(Tc)の近くで切断すると組換え頻度が高く、離れた点が末端になるほど組換えが起り難くなることが示された。DNAの組換え機構に一重鎖交換を想定したモデルに於ける大腸菌のrecA蛋白のようなDNAのD-loop形成や鎖転位活性をもつ蛋白がマウス精母細胞に続いてユリ花粉母細胞でも同定された。この蛋白にはATP依存性のもの(m-rec)とATP非依存性(mAi-rec)の二種類があり、さらにATP非依存性でMg^<++>非依存性のものも発見された。同モデル最終段階であるDNA鎖結合に関与するリガ-ゼについても減数分裂前期にリガ-ゼIIの活性増加がありIとIIと2種のリガ-ゼ依存が示された。これら酵素の出現とシナプトネマ構造の出現で減数分裂遺伝子組換えの進行が幾重にも保証されていることが示唆された。減数分裂前期形質転換の可能性をみるため、プロトプラストの融合や粒子gun,エレクトロポレ-ションなどの方法の比較を完了した。
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