研究課題
一般研究(B)
本研究は、漢字を国際共通語として一つの文化圏を形成していた東アジア(中国・日本・朝鮮)文化圏における正統意識を、文学・史学・哲学の視角から総合時に検討することを目的にしていた。日本・中国・朝鮮の歴史的文化交流を視野に入れて比較文化論的考察をも考慮しつつ、各地域の正統意識を異端論争とからませて検討した結果、次の諸点を明らかにした。1中国と日本における統治政策・統治理念にみられる正統の観念、さらに民衆的要求の次元における民衆的正当性形成の問題を明らかにした。2中国の正統思想について、とくに代表的ないく人かの儒者・儒学思想をとりあげ、その思想的継承・批判の側面を明らかにした。3朝鮮の朱子学の立場からする仏教批判の歴史的・思想史的位置を明らかにした。4日本の和歌における流派の問題をとりあげ、諸流派の正統意識を明らかにした。5中国の文芸について、水滸伝をとりあげ、登場人物に付与された政治的正統意識を明らかにした。6中国の文芸について、明清小説をとりあげ、小説の禁止論をめぐる文学的正統意識を明らかにした。なお、来年度中にその成果をとりまとめ、刊行する予定である。
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