今回の研究量申請の狙いは、十余年に及ぶボワロー詩学の研究を、いくつかの点でまとめることにあった。 その第1は、総論的な研究の展開で、総論合体の計画のうち約半分について、本年度中に最初の草稿を起草し、現在『詩学』の本文校訂についてのまとめを行っている。この草稿は自分でワープロに入力してあるが、他の部分の研究との相関関係がつよいので、現状ではそのまま公表する形にはなっていない。 第2は、詩釈部分のノートをワープロに入力することであるor、これについては本年度はほどんど行う余裕がなかった。 第3は、本年度の主たる作業であり、報告書として公表する予定である仕事にあたるものであって、コンピューターによる索引づくりである。本年度新たに外注にだして入力させたテクストで以て、ボワローのすべての著作をフロッピー・ディスクに収録したことになる。当然、それに平行して、索引づくりのためのテクストの加工の作業を行ない、現にそれを継続している。テクストの本体はフランス のもので、縮約形が多いというフランス語の特色のために、テクストの加工に思わぬ時間をとられて、作業は手間どっている。最終的に公表を予定しているものは、 『詩索』 の用語一覧表及びその全語量の索引、そしてその中から選んだ重要な語量に関して、全著作を対象とするConcordanceである。
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