研究課題/領域番号 |
62450013
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 欣哉 東北大学, 文学部, 教授 (10004053)
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研究分担者 |
遠藤 光男 光星学院八戸短大, 講師 (90185166)
真覚 健 東北大学, 文学部, 助手 (40199675)
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キーワード | 全体知覚 / 顔 / 倒立顔 / 多次元尺度 / 眼球運動 |
研究概要 |
(1)理論面の考察:知覚的認識において、全体と部分のいずれも認識できる場合には、全体の知覚(部分間の等号)、部分の知覚、全体と部分の相互作用、部分間の作用効果、とういう4つの側面をとりあげねばならない点を考察し、具体例として顔の知覚を対象に、研究を計画した。 (2)部分間の一致・不一致と顔の類似性:単純化された正立顔を用いて、それらの類似性を評定させ、結果を多次元尺度法で解析した結果、解である図顔間の類似性空間配置直方体が、座標空間において奇妙にも傾斜の形を示した。この理由について考察を重ねた結果、これこそが正立顔知覚における「部分間の作用効果」を表すと推定された。例えば、目と輪郭が同じ場合は、それによって顔の類似度がやや高まり、眉異の効果がそがれる。同様に、目と眉が同じ場合は輪郭の異なりがややそがれる。更にこの3者がすべて異なる場合は相乗的になって顔の類似度はやや高まる。こうした部分間作用効果の存在が実験的に検証された。 (3)類似性判断からみた正立顔と倒立顔の知覚スタイルの違い:上記の部分間作用効果が倒立顔では認められず、したがって倒立では、部分間を関係づけるといった総合的な見方は後退するという結論に達した。 (4)倒立顔観察時の眼球運動:正立顔、倒立顔の知覚方略の違いを眼球運動の面から考察した(中国人留学生との共同研究)。結果は予想に反し、正立と倒立との間には特別な差はみられなかった。従って、正立・倒立の知覚方略の差は、走査スタイルには差がないことから、総合スタイルの差と癒える。すなわち、部分情報はpick-upされても、統合の段階で、それらに与える重みが異なると推定された。 (5)"相貌的知覚"に関する研究:Wernerの言う相貌的知覚の意味を吟味した上で、蝶の模様を顔とみたてる実験を行い、考察を与えた。
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