研究概要 |
1.覚醒時の研究:前年度まで女子のみを対象としたので,男子を対象としほぼ従来通りの実験を行った. 女子の場合測定を遠慮した剣状突起付近から測定した胸群8名・膝群5名計13名の結果,測定全期間の平均値は額35.18±0.59,胸33.87±0.89,腕32.70±1.64,手掌32.50±3.39,手背32.37±2.34,膝32.36±1.18,足底27.87±3.82であり,室温22.77±1.74℃,湿度61.3±7.73%であった. 部位間に有意差(対応ある両側t検定)がみられたのは,最高の額が足底・膝・手背・手掌・腕・胸との間に,最底の足底が手掌・手背・胸,(額)との間および胸と腕間の10組合せのみであった. 部位間で有意相関(両側検定)がみられたのは,手掌が手背・腕・足底;手背が(手掌)・足底・膝;膝が(手背)・腕の6組合せであった. そして室温は腕・足底の間に有意相関(片側)がみられた. 室温が22.77±1.74℃とわずか変化したにすぎないのに,不関電極装着部位の皮膚温に影響していることは,室温の調節にさらに留意しなければならないことを示している. 2.睡眠時の研究:14名の男子大学生について延べ98夜,睡眠時ポリグラフィ(脳波・眼球運動・筋電図)の他,皮膚電位活動・呼吸・心拍・脈波・皮膚温・直腸温・室温を記録した. これにより(1)皮膚温に及ぼす室温・寝具・就眼姿勢等の睡眠環境の影響,(2)皮膚温と他の自律神経指標,特に皮膚電位活動・脈波との関連,(3)皮膚温変動と睡眠段階・睡眠周期との関係を検討するために,上記各指標の判読・分析のためのデータファイルの作成を現在までにほぼ終了した. 予備的分析では,手背波膚温は直腸温に近い高温から30℃前後の低温まで激しく変動することが明らかになった. 次年度に,これらの変動因は何かを検討するとともに,上記の諸点に関して詳細な分析を行う.
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