研究概要 |
1.基礎資料の収集:大学生を対象に, 感情表出の研究から得られた最も基本的,かつ普遍的とされる感情を表出しやすい会話場面について,自由記述法による調査を行った. それをもとにして,基本的感情表出の場面リストを作成した. 次に,その場面リストを,自由記述を求めた学生とは異なる大学生に呈示し,類似していると思われる場面を自由に分類させた. そしてその結果をクラスター分析し,各感情を表出する場面の心理学的構造を検討した. この検討結果をもとに,実験に使用する場面リストを選択し,さらに,別の大学生に選択された感情表出場面における会話を自由記述させた. そしてその結果得られた会話場面のプロトコルを基に, 刺激用の会話プロトコルを決定した. 2.刺激提示システムの検討:実際に人物が被験者に対して即時に応答しているかのような印象を与えるように刺激を提示するために, 刺激提示システムの構築を試みた. 構築のために使用した機材は,今年度に購入したCCDカメラ,光ディスク動画装置,タイムベースコレクター,および従来からあるミニ・コンピュータ,VTR,画像処理装置等である. これらの最適なインターフェイス環境を現在検討中である. 3.刺激特性の測定:CCDカメラにより入力し,VTR,光ディスク装置に収録した顔面表情の画像を,画像処理装置により処理し,各シーンにおける顔面等の物理的属性の変化を測定するためのプログラムを開発した. 4.得られた知見:基礎資料の収集から,日本ではまだ心理学的な検討がなされていなかった感情表出場面の心理学的構造の分析が行われた. また,コンピュータによる画像処理という技法を用いて, 顔面表情の物理的特性を新しい観点から計測する技術を確立した.
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