研究課題/領域番号 |
62450022
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
末永 俊郎 日本大学, 文理学部, 教授 (80011261)
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研究分担者 |
和田 万紀 日本大学, 文理学部, 助手 (30210983)
山田 寛 川村短期大学, 英文科, 専任講師 (80191328)
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キーワード | 対人行動 / 顔貌特徴抽出システム / 顔面表情の判別 / 表情のコンピューターグラフィックシステム / 自己概念 / 自己能力に関する情報収集 / 自己確証モデル |
研究概要 |
対人行動の基礎過程を研究する上で、従来の社会心理学的実験パラダイムを越える枠組みを提供することが本研究プロジェクトの主たる目標である。従来の社会心理学的実験で問題とされる点は、対人刺激として実人物を用いていたために不十分にしか実験条件を統制することが出来ないこと、さらに刺激と反応との関係を厳密に数量化することが困難であることなどが挙げられる。本プロジェクトでは、近年の工学的技術を利用してそれらの点の改善を試み始めた。その最初として、表情刺激の計量的測定が検討され、前年度には、ある表情時の顔面形状が自動的に計測するためのBASFというコンピュータ画像処理システムが開発された。本年度では、このBASFによって、対人行動に影響を与える表情表出場面の計測実験を行ない、基本的な顔面表情を高い確立で数値的に判別できることを見いだした。さらに、刺激呈示の問題に対しても、コンピュータ技術の利用を検討した。そこで、CRTに現われる顔の形状を量的に統制して変化させることが可能なSEEというコンピュータ・グラッフィック・システムを開発した。そのSEEを用いた実験から、表情認知の重要な問題である内的表象過程の一端が明らかにされた。 本研究プロジェクトでは、研究経過の中で、表情認知という非言語的な側面での情報収集行動ばかりではなく、言語的な側面での情報収集行動もまた重要な対人行動であり、その点に関しても新たな実験的枠組みを提供する必要性があるという見解に至った。そこで、近年問題となってきた自己情報の収集に焦点を当てて研究を行った。その中では、特に自己能力に関しての情報収集行動を検討し、自己概念を操作して実験を行うことが可能であることを見いだした。その実験の結果、情報収集行動における自己確証モデルの妥当性が検証された。
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