研究概要 |
最近, わが国では, 中高年齢者の離婚が増加する傾向にある. (1) 名古屋・岐阜・津の各家庭裁判所の家事婚姻係事件票により, 家事調停申立人の職業を調査すると, 夫の場合,無職,生産・運輸労務者.販売員,妻の場合,サービス業・販売員が多く,経済的に貧困者が多いことがわかった. (2) 愛知県・岐阜県の婦人相談所の相談カードにより相談内容をみると, 夫の暴力・飲酒・失業など夫婦関係の不和による妻の逃避家出,生活困窮による売春婦への転落など相対的貧困者が多いことがわかった. とくにフィリッピンから, 観光ビザなどにより出稼ぎにきた女性が売春事件で検挙保護されている実情をみて, わが国の一部の人々の売春周旋のあくどさが分った. (3)名古屋市内の一母子寮入寮世帯を調査した結果,母子寮入寮者の母親自身,生育歴に幼少時,親との離・死別,貧困,低学歴,親元を離れての就職などの要因が多く認められ, 乳幼児をかかえて生活の目途がたたないで入寮していることが分った. (4)三重県鳥羽市,国崎・石鏡部落は 海女のいる漁村であるが, 技術革新による産業構造の変化のため, 若い青年男女は勿論,中年層まで大阪市・名古屋市・伊勢市などへ移住し, 漁業を継承する人口が減少している. 海女などは若い年齢者はいなく,40才以上の中高年齢者が多い. 漁業を継ぐ長男などは, 30才をすぎても独身でいる者が多く嫁飢饉の現象が生じている. そのため漁業不振せ予測して観光事業に転業する者, 漁業を継続する者との対立が生じ漁村の分解,家族解体現象が生じている
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