1.人工動態資料(昭和55年度の愛知・岐阜・三重の東海三県)により、夫妻別に離婚の多い職業を検討すると、夫の場合技能職・販売職・運輸通信職が多く、妻の場合・無職者が多い。夫婦共稼に離婚が多いということはない。年齢の面では、夫30〜34歳、妻:25〜29歳の組み合わせの夫婦に多い。 2.家庭裁判所の婚姻関係調停事件の実態を調査することは困難である。家事調停事件は、非公開が原則であるので、家庭裁判所の実態は、司法統計書以上の資料を入手することは困難である。 3.愛知県・三重県四日市市、岐阜県高山市、中津川市、各地域の母子世帯の実態をみると、いずれの地域においても、母子世帯になった原因は離婚によることが多い。離婚の原因はサラ金による借金、夫の暴力によることが多い。 4.岐阜県高山市、益田郡下呂町、中津川市の「心配ごと」相談を調べると、相談内容には、夫婦相談、離婚相談、財産相談の相談が多い。 5.三重県鳥羽市石鏡の調査では、離婚が少ないことがわかった。 6.名古屋市では、年末・年始の時期に、無宿者の相談事業を行っているが、昭和63年末、相談にきた人は300人有余で、全員が男性である。女性は、経済的に困窮すれば、浮浪しなくても、誰か知らぬ男性が救済してくれるようである。彼らの職業は、土木作業などに従事してきた人に多い。 7.家族解体現象を研究するには、ケースを多く、深く解明する必要がある。離婚を研究するには、家庭裁判所に勤務して、事件を取扱うより方法がないように思われる。今後は家事調停委員としてより多くのケースを担当するつもりである。
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