研究課題/領域番号 |
62450037
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
金田 利子 静岡大学, 教育学部, 教授 (60086006)
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研究分担者 |
諏訪 きぬ 鶴川女子短期大学, 幼児教育科, 助教授 (70105170)
柴田 幸一 静岡大学, 教育学部, 助教授 (60126779)
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キーワード | 心理的拠点の形成 / 集団保育 / 3歳未満児 / ならし保育 / 保育体制 / 保育方法 / 保育者 / 保育観 / 育児意識・母子関係理論 / 保育園の役割意識"なれ"の過程 |
研究概要 |
本研究は「集団保育における心理的拠点の形成」を促す保育の過程が集約的にあらわれていると思われる「ならし保育」に焦点をあててすすめられた。第1年度(1987)においては、主として「ならし保育」の調査を、1)3歳未満児の保育体制、2)ならし保育の実態、3)保育者の意識ー母子関係に関する、4)保育者の意識ー保育園の社会的役割の4点から行い、1)についての分析を行った。その結果、保育体制の現状について分析し、新たな知見が得られた。(昨年の報告書参照) 63年度は、62年度の調査のうち、2)3)4)の分析を行うとともに、保育体制の分析結果から得られた特徴をもとに対象園を選定し、新入園児の「ならし保育」における心理的拠点の形成過程の観察および分析を行った。その成果(新たに得られた知見)を以下に述べる。 1.新入園児受け入れ(「ならし保育」)に関する調査の分析(昨年の継続)ーー分析視点2):3歳未満児の保育において受け入れのための工夫がかなり講じられて、ならし保育の実施は88.3%のクラスに及んでいる。3):保育者の育児意識に関しては、今日の保育者はボウルビイの"愛着行動制御説"を脱して"コミュニケーション欲求充足説"に近い立場をとっており、3歳未満児を保育園に預けても母子分離による影響は少なく愛着の対象も複数を認めるなど、3歳未満児保育の実践を通して一定の変容が生じてきていること、4):保育者の保育園の役割に関する意識も、実践を土台にかなり積極的に受けとめ対応する姿勢が形成されてきている。 2.集団保育における新入園児の"なれ"の過程の分析よりーー1)保育体制の異なる3園の対象児、各1名を入園後1週間の状況をVTRで実証的にとらえ資料を提供した。2)なれの過程には個人差があるが、共通しているのは人・物を取り入れ自己の中に枠組を創り出すことで、その過程で安心できるよりどころが心理的拠点ではないかと確かめられた。
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