研究概要 |
研究を初めるにあたり, 研究上の核となる「言語」に関する検討を行った. これは文献研究, およびそれと実践経験との対照から成る. この結果, 様々な言語水準を有する自閉症状をもつ事例のなかでも, 2語文の水準を扱うことで問題を把握できると思われること, 要求する, 叙述する, 模倣する, 弁別する, 共有する, 交換する等の基本プロセスの仮定が有効と思えること, 個々事例の問題の改善から示唆される点が大きいことなどが明確になった. 今後, 研究対象児の検討と並行し, さらに上述の検討を深める予定であるが, 上記をふまえて今年度実施した内容は以下の通りである. 1.研究対象児の検討 養護学校, 特殊学級に在学する候補児について, 学級担任と計画の細部の検討を進めつつ, 候補児の行動観察, 学級の実態の観察を行った. これにより, 数名の対象児が, まず絞れつつある. 2.言語水準, 集団内行動の評価法の検討 上記の検討もふまえて, 主に言語表出面の規定方法・チェック法を検討し, 集団内行動については, 教師・他児と対象児の相互交渉場面に焦点をあて, 行動カテゴリーを設けた観察記録法を試行した. 主なものは, 対人行動, 対物・課題への従事行動である. この中の対人行動が, 言語と関連するため, 来年度の課題として残された. なお, 言語要因については, 表出面に加えて理解面, さらに音声・非音声の側面を入れて検討する必要が指摘でき, この具体についても, 来年度の本格的な検討に送ることとした. 来年度は, 対象児とその学級等の集団場面を観察, 分析し, 合わせて, 指導的介入プログラムの立案と実施の段階に入る予定である.
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