研究課題/領域番号 |
62450046
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
平川 南 国立歴史民俗博物館, 歴史研究部, 助教授 (90156654)
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研究分担者 |
永嶋 正春 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助教授 (50164421)
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キーワード | 漆紙の集成 / 漆紙の廃棄形態 / 中世の漆紙 / 漆紙の実験的研究 / 漆紙文書の復原的研究 / 武蔵野台遺跡 / 具注暦 |
研究概要 |
漆紙文書に関する総合的研究の2年目として、次のような研究を推し進めることができた。 1.全国各地出土の漆紙の集成とその残存状況の分析 最大の出土量を誇る茨城県鹿の子C遺跡の漆紙文書について、前年度に引き続き復元作業と形状の詳細な観察を実施するとともに再撮影を全体のほぼ^2/_3について完了した。この他の遺跡出土の資料についても集成作業を実施した。一方、こうした資料の残存状況の観察から集落遺跡に特に多い土器に付着した漆紙はパレットとして用いられたはほかに、漆紙の廃棄の際に利用された例もあることが判明した。また、鹿の子C遺跡の漆紙の観察から焼き焦げた部分を発見し、漆紙の廃棄は焼却されるケースも予測できることがわかった。 2.中世における漆紙の検討 最近、中世の遺跡から漆紙が発見されている。広島県草戸千軒町遺跡・岡山県友野遺跡・石川県西川島遺跡などで、それらの実例を詳細に観察した結果、基本的には古代と相異するものではなかった。ただ、友野遺跡の例は推定径27cmを超える大型な漆紙であるが、反故文書を用いていない点、中世の紙生産の増加を暗示するのかもしれない。 3.現代工人との共同作業として、漆紙の実験的研究 実際の漆を使用し、文書や朱書の紙をふた紙として種々の試料を作成し、その観察・分析を実施し、今後の漆紙文書の残存状況との比較研究の資料とした。 4.漆紙文書の復原的研究一地方官衛における文書の保存と反故一 今年度出土した東京都武蔵野台遺跡具注暦断簡について、残存量わずかに24cm、13日分の暦をもとに復原した結果、天平勝宝9歳暦(757)・1年1巻は約6.23mと判明した。
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