研究概要 |
1.『全国総書目』(1949〜83),『全国新書目』(1984〜86),『中華民国出版図書目録』(1949〜86)などの目録類から,日本に関する中国書(日本書の中国訳を含む)を選んでカードにとった. 2.本研究に関連する既刊の目録類を検討して,以下の作業をおこなった. (1) 山口一郎編『近代中国の対日観』は,1912〜67年に出版された日本に関する中国人の著作を対象にしている. 本研究では,本書に漏れている図書および1968年以降に出版され,東洋文庫で収集し得た図書について,その内容を検討し,必要なものには解題をつけた. (2) 小川博編『中国訳日本書綜合目録』には,1660年代から1978年までに出版された翻訳書が収録されており,1.に記した作業によって1979年以降の分を補った. これらを併せて,近・現代中国における中国訳日本書の出版状況について分野別,年代別にその特徴を明らかにするために,カードの分類をおこなった. 3.以上の作業のなかから,これまでに明らかになった主な点は以下のとおりである. (1) 日本に関する中国書のうち,日本書の翻訳が多数を占め,1949年以降では,また,翻訳書の40〜50パーセントが自然科学関係である. (2) 中華人民共和国では,1978年より日本関係図書の出版が増加し始め,1980年以降その傾向は著しい. (1)にふれた自然科学関係を除き,図書の主題を1977年以前,とくに1950〜60年代のそれと比べると,1978年以降は教科書を含む日本語学習書が多くなっていること,社会科学分野で日本の産業経済関係が比較的多いこと,日本文学の翻訳書がかつてのプロレタリア文学中心から一般通俗文学にまで及ぶようになっていること,などの特徴がみられる.
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