研究課題/領域番号 |
62450052
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
都出 比呂志 大阪大学, 文学部, 教授 (90025065)
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研究分担者 |
福永 伸哉 大阪大学, 文学部, 助手 (50189958)
大石 雅章 大阪大学, 文学部, 助手 (50152046)
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キーワード | 葬送儀礼 / 埋葬姿勢 / 埋葬頭位 / 竪穴式石室 / 仏教 / 僧 / 陵墓 / 中世寺院 |
研究概要 |
本年度は3年間の研究の最終年度にあたり、研究成果のまとめと成果刊行のための作業を実施した。 まず、昨年度に実施した京都府鳥居前古墳の発掘調査報告書の作成が、その一つの作業である。この古墳は短い前方部を有し、その後円部に墳丘主軸と斜行する竪穴式石室がある。研究分担者の福永伸哉は、全国各地の斜行石室の資料を集成し、墳丘主軸と並行する石室と直交する石室、また埋葬頭位が北優位の石室と東西方向を優位とする石室の諸例と比較し、斜行石室が偶発的存在ではなく、意識的な習俗と考えうることを論証した。この成果は『鳥居前古墳ー総括編」(福永編)の中に「斜行石室論」として展開されている。 さらに、本研究においては、埋葬姿勢に関して考古学的に総合的な考察を実施したが、本研究の成果刊行書において、福永は「原始・古代の埋葬姿勢の変遷ー近畿地方を中心に」としてその成果をまとめた。この研究は、縄文時代から古墳時代までの各時期において屈葬から伸展葬にいたる多様な埋葬姿勢があること、それが地域別にも複雑な変異を示すことの意味を明らかにした。 また研究分担者の大石雅章は、古代末から中世にいたる葬送儀礼における仏教と僧の役割を明らかにする研究を進め、とくに天皇の葬送儀礼において仏教原理がとり入れられる過程を文献史料を基礎として詳細に明らかにして、その成果を「平安期における陵墓の変遷ーー仏教とのかかわりを中心に」と題する論文を成果報告書の中に執筆した。 以上のごとく、本研究の3年間の成果は、発掘調査による新らたな資料の掘り起しにとどまらず、埋葬姿勢と葬送儀礼に関する研究において所期の目的を達成したと信ずるものである。
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