研究概要 |
本研究は, つぎの4つの方法によって進めた. 1.縄文時代の埋葬の分布と立地の研究・・・・・・・・・埋葬と集落跡を含む遺跡群の研究から集団の領域について研究する. 2.埋葬形態の類型的研究・・・・・・・・埋葬諸形態の地域的, 時期的な分類研究. 3.出土遺物の考古学的研究・・・・・・・・埋葬遺跡出土遺物の分析とその編年的研究. 4.総括・・・・・・・・縄文時代葬制の構造的特質を明らかにし, その系譜, 出現の背景, 集団構成の分析を進める. 昭和62年度においては, 縄文時代の埋葬遺跡の析い中国地方および九州地方の資料調査を中心に研究を進めた. このうち, 埋葬遺跡が集中して分布する広島県帝釈峡遺跡群の埋葬については, 形態や出現の背景, 系譜などの全容を明らかにすることができた. そして, 縄文時代後期, 晩期には, 埋葬の形態や埋葬に際して行われる習俗などに被葬者の出自やその集団の社会的な規制が強くはたらいていることを明らかにした. 一方, 九州地方の埋葬遺跡の資料収集につとめたが, 近年発堀調査の進行とともに事例が増加してきており, 九州地方全域にまで調査研究をひろげることがむつかしかった. 昭和63年度以障の研究では, 九州地方さらには四国・近畿地方の資料調査とその分析を主眼にして進めていきたい. 以上, 昭和62年度の研究は, 中国地方を中心とする研究であったが, この研究によって, 今後の研究遂行のための見通しを得ることができたので, 次年度以降も積極的に研究を進めていくことにより, わが国の縄文時代葬制の特質を明らかにしていきたい.
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