研究課題/領域番号 |
62450053
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河瀬 正利 広島大学, 文学部, 講師 (30093743)
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研究分担者 |
川越 哲志 広島大学, 文学部, 助教授 (20033491)
潮見 浩 広島大学, 文学部, 教授 (30033476)
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キーワード | 縄文時代 / 埋葬観念 / 埋葬習俗 / 集団構成 |
研究概要 |
本研究は、つぎの4つの方法によって進めた。 1.縄文時代の埋葬の分布と立地の研究………埋葬と集落跡を含む遺跡の研究から集団の領域について研究する。 2.埋葬形態の類型的研究……埋葬形態の地域的、時期的な分類研究。 3.出土遺物の考古学的研究……出土遺物の分析とその編年的研究。 4.総括……縄文時代葬制の構造的特質を明らかにし、その系譜、出現の背景、集団構成の分析を進める。 昭和62年度においては、中国地方と九州地方の資料調査を中心に研究を進めてきたが、九州地方については、資料が増加していることとも関連してかなり不十分なものであった。したがって昭和63年度においても九州地方の資料調査を中心に研究を進めたほか、四国地方の一部についても調査を進めた。九州の埋葬遺跡は、長崎県岩下洞穴、大分県枌洞穴などのように縄文早期以降の多数の埋葬人骨が発見され、しかも生活の場ともなっていた遺跡と大分県文恩寺岩陰、草木洞穴のように墓地としての性格のみをもった遺跡とに大別できることが推定された。こうした遺跡の性格や形態の違いは、中国地方の埋葬遺跡の形態、在り方とも共通するところが多い。また、埋葬法でも単独の墓坑に埋葬される例と狭い範囲に多くの人骨が埋葬され、再葬墓と考えられるものとに分類された。この再葬墓は、縄文後・晩期になって採用された新しい習俗であり、この新いし埋葬習俗の出現は、人々の生活態様の変化に起因するものであることをうかがわせている。このように、昭和63年度までの研究によって縄文埋葬の構造的特質の解明のための見通しを得ることができた。次年度以降においてもさらに資料調査の遂行と、研究のとりまとめを行って研究の完遂を図りたい。
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