研究課題/領域番号 |
62450056
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
秋吉 勝廣 九州大学, 言語文化部, 教授 (00047870)
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研究分担者 |
海老井 英次 九州大学, 教養部, 教授 (10047714)
町田 三郎 九州大学, 文学部, 教授 (20005747)
福田 殖 九州大学, 教養部, 教授 (80036970)
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キーワード | 文学意識の形成 / 植民地時期の成長 / 戦時態勢の影響 / 自我の確立 |
研究概要 |
1.第二年度における研究体制の設定 (1)前年度に設定したとおり、本研究の目的を達成するために、研究分担者が各自の研究計画を円滑に推進できるよう調整検討した。(2)基礎文献の探査 前年度から作業を継続し、特に中国での最近の本研究目的に関わる関係論文資料をリストアップし、毎月発行している『科研通信』に毎回掲載した。(3)研究会の開催と通信の発行、年二回の研究会を開催し会報として上記の『科研通信』を十一回発行し、研究対象者の横顔を掲載し、研究内容を明瞭化し、研究の進展状況を円滑にした。 2.新たに得られた知見と成果 新たに得られた知見としては、次の諸点が挙げられる。秋吉は論文「陳千武の詩「信鴿」のなかの『死』ーーひとりの元台湾特別志願兵の足跡ー」によって、かって日本軍の特別志願兵であった台湾のひとりの詩人かつ作家である陳千武の全著作を検討、かれの文学意識の形成は、日本植民地時期の日本文学の吸収にあったこと、ならびに戦後の中国語による文学作品の出発点が、日本軍人の一人として南方作戦に従軍していた経験にあった事実を確認した。これは続論文「陳千武の文学への出発期」によってさらに明らかになった。海老井は「戦時下の台湾文学」で、とくに龍瑛宗に焦点をあて、かれの日本語で書かれた小説が、戦いの進行とともに、次第に枯渇して行く過程を明らかにした。佐藤は章太炎の日本に対する意識を調べるために、かれの関係著作の訳出を手掛け、竹村は王国維の京都滞在時期の鈴木虎雄博士との交友を探るために、かれの著作「頤和園詞」の諸本の収集と、注釈の着手した。福田も「陳元贇・朱舜水と安東雀庵」の関係を明らかにし、岩佐は蒋光慈の日本滞在中の状況を鋭意に調査した。 3.今後の研究方向 当初予定した研究過程は、三年間であったため、一年次でやっと軌道に乗った状況であり、成果の達成を期している。
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