研究課題/領域番号 |
62450060
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神品 芳夫 東京大学, 教養学部, 教授 (50012282)
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研究分担者 |
高橋 輝暁 東京大学, 教養学部, 助教授 (60080420)
麻生 建 東京大学, 教養学部, 教授 (80012524)
吉島 茂 東京大学, 教養学部, 教授 (50011309)
新田 義之 東京大学, 教養学部, 教授 (60012340)
岩村 行雄 東京大学, 教養学部, 教授 (30012438)
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キーワード | ドイツ文化の受容 / ドイツ関係図書文献 / ドイツ文学研究の変遷 / ドイツ語学習の歴史 / ドイツ留学した日本人 / 来日ドイツ人の役割 |
研究概要 |
1.来日ドイツ人の役割と活動については、東アジア研究協会の刊行物の閲覧と古い資料の発掘を行なった。総じて来日ドイツ人の活動はめざましかったが、それは大別して(a)日本文化に心酔する、(b)日本人を批判的に観察する、(c)ドイツの学術・思想の移植に献身する、(d)ヨーロッパ的教養を体現する、という四つのタイプがあった。ナチズムへの迎合の度合いはこのタイプ別とは相関性がうすく、むしろそれまでの日本における境遇によるところが大きいことも明らかになった。2.日本知識人のドイツ遊学の実態については、森鴎外、木下杢太郎、藤代禎輔、斉藤茂吉らを対象に改めて検討した。最初の留学生たちがドイツ文化に直接触れた世紀転換期は、まさに今また新たな視点から見直されつつある時代である。現在の視点から見えてきたものと、当時の留学生が見ていたものとを比較対照する方法が、現代文化の源流ともいうべきこの時期の諸現象を究明するのに有効であると認識された。3.第二次大戦後の日本におけるゲルマニスティクの研究態度の変遷に関し、日本人研究者の業績を総合的・統計的に調査した。それによると、研究の基本的姿勢は昭和40年頃までは戦前とあまり変わらないが、以後急速な変化をとげる。たとえば、ゲーテを扱う論文の割合が目立って減少するのに対応して、論文のテーマが多様し、スイスやオーストリアその他を意識した「ドイツ語圏」という言葉が全面に出てくる。ゲーテを中心に据えて求心的に見る態度から、ドイツ語圏文学の多様な価値を把握しようとする遠心的方向への転換が認められる。ドイツ文学研究史におけるこの転換の文化史的意味を日本の国際化との関連もふまえ、さらに考究する必要がある。4.国家図書館所蔵の古いドイツ関係文献の調査とデータベース化は本年度も追加と補正の作業を続け、また、ドイツ語教育草創期の貴重な文献の所在探索にも成果をあげた。
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