基本的な作業(カード作成)は、前年度に完了しているので、本年度は、それをワープロ原稿化しながら注をつけていくことが中心となった。この原稿を念のため、NUCでチェックしたところ、確認に役だったことはもちろんであるが、同時にNUCの欠点もいろいろわかってきた。結局は原本にあたるしかない(校正もふくめて)ので、ベルファストから、所蔵本全部のタイトルページのコピーを入手し、東大については自分で撮影し、エディンバラからも入手しつつある。(量がおおいのと先方の人手不足でおくれている。) 本年度の実録としては、つぎの5点をあげることができる。 1.エール大学で、アメリカ独立直前の会議記録を発見したこと。これはボナー目録に所在不明として記録され、エール大学ではスミス蔵書であることに気付いていなかった。 2.日本にスミス蔵書3点が流入し、実物をて点検しえたこと。これは目録作成のことが、英米の古書籍商のあいだで知られているため、日本にもっていけば高価で売れるとおもわれているためらしい。 3.これまで同定でくなかったDe Laineの著書が、リヨン大学トリコー教授の協力によって、De Lavieの著書であることがわかり、書誌データも入手できたこと。これは匿名著書であって、ヒッグズの書誌にDe Laineとされていたものであるが、ヒッグズかviをinと誤記したことになる。 4.おなじ状態のVitriaruisとValerius Maximusについて、オランダ中央図書寛としレイデン大学で調査した結果、前者はスミス目録の誤記、後者はタイトルではなく、第一行の転記と結論した。 5.ワープロ原稿は、現在半分をこえたところだが、英文の記入ルールはOUPに送り、解説序文の日本後原稿は、一橋大学で近く公刊する。
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