研究分担者 |
小池 和男 京都大学, 経済研究所, 教授 (50022463)
浅沼 萬里 京都大学, 経済学部, 教授 (70025188)
中村 哲 京都大学, 経済学部, 教授 (20025191)
山田 浩之 京都大学, 経済学部, 教授 (10025182)
池上 惇 京都大学, 経済学部, 教授 (30025184)
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研究概要 |
本年度は(1)「日本経済社会の近代化」および(2)「日本企業と産業構造」をテーマに掲げ,計6回のシンポジウムおよび8回の研究会を行った. そこでは,1980年代の日本経済を特徴付けてきた2要因,すなわち高度情報技術の急速な進展とグローバリゼーション(円高はそれを一層加速させた)が,日本の経済社会,とりわけ産業構造および企業経営にどのような影響を与えたのかを各々の専門分野から分析した. その結果,以下の諸点を日本経済社会の現状として共通の認識とすることができた. 1.急激な産業構造の変化は第1次産業就業者数をわずか9%にまで低落させ第2次産業も3割台で停迷させる一方,第3次産業従事者を6割近くにまで膨張させている. このことは「第3次産業」という範疇の明確化という作業を必然化させる一方,それが経済社会の諸分野に及ぼす影響についての分析をも必須のものとしていること. 2.いわゆる「ネットワーク社会」論の帰結は余りに楽観論に過ぎ,むしろ逆に,情報社会の実態は競争市場構造に悪影響を及ぼしつつある. 「ネットワーク社会」論の欠陥は,新たな経済主体間の結合を力説する反面,経済主体そのものの内的構造の変化を無視していること,すなわち,再び企業を単なる「点」として把握するという理論上の後退にある. 3.日本企業の「企業グループ」化,すなわち分社経営の進展によって,日本企業は80年代に急速に膨大な数の関係会社(子会社および関連会社)を抱えるようになったこと. したがって,「企業」間競争は今日ますます「企業グループ」間競争という錯綜した様相を明確にし始めたこと. 次年度は,以上に日本経済社会の技術発展問題を付け加え,中間的に現代の日本経済社会の特徴について綜括する予定である.
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