研究概要 |
本年度に行った研究の項目及びその概要は次のとおりである: 1.生産対象品の変化と持続性に関する市場動向の調査 十余種の製品の20〜30年間の需要量と品種数の関係を分析した結果,市場の成熟に伴って量成長の鈍化が起り,それと同時に,品種数の増加が始まることがわかった. 次年度は,両者の定量的な関係を把握することに主眼を置いて研究を行う. 2.多品種小ロット化した市場に適応する生産システムの基本設計 1.で述べた成熟市場に対応した生産システムを実現するための指針を得るために,製品の総生産量,ロットサイズ,設備の生産速度及び切替速度の関係を理論的に解析し,現在の生産設備が,なお成長市場時代の方向慣性をもっていて,現在の市場に対する不適応性が高いことを指摘した. 次に,この考え方を,各種製品の多品種化の影響を凝集して受ける包装材の生産設備に適用したところ,品種切替速度の増大を最重要視し,生産速度は,むしろ低下させる方向で進むべきとの結論が得られた. 3.自動生産システムの生涯性研究 生産システムの開発期における問題点と,生産就役過程において発生する問題との関係の解明を中心に,実際のミシンボディ製造の自動生産システムについて,ヒストリカルな分析を行った. その結果,生産就役初期と開発後期をオーバラップさせ,この時期に自動生産システムの市場性,生産性,及び保全性に関する性能を仕上げて行くのが,最も合理的な方法であることが明らかとなった. 現在,その方法の確立に取組んでいる. 4.自動生産システムの人依存事象の分析と低減 設備の完全自動化を妨げる基本事象の構造と分析する手法を示し,自動車用部品の自動加工ラインへの適用を行った. この結果,新性能開発度の高いシステムにおける小停止問題の解決が重要との結論が得られた.
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