本研究は(1)従前の西欧都市計画モデル論を否定し、西欧近代都市計画も特殊な西欧的社会条件、歴史的条件の下で成立したものであると、この西欧型都市計画を「相対化」すること、(2)その上に、日本を含めた東アジアに固有な新しい都市計画像を打ちたてることを目的としていた。 今年度は具体的なケース・スタディとして、(1)「西欧型都市計画が東アジアに適用された場合に失敗した事例」をとりあげ検討すること、(2)イギリス都市計画の歴史的レビュー、(3)韓国における区画整理をとりあげ、分析した。 (1)「なぜ台湾型クル・ド・サックは高雄(台湾)で失敗したか」 1970年に高雄に導入されたクル・ド・サックが、結果としてグリッド状道路パターンに改変されていったプロセス、社会的理由を分析し、クル・ド・サックは成熟社会に固有の技法で、社会類型とのミス・マッチが生じたことを明らかにした。 (2)イギリス都市計画の特徴をその歴史的発展段階から4区分して分析考察した。 (3)東アジアの都市計画の特徴をあらわすひとつの技法として、ソウルの区画整理(1960年代)をとりあげ、主要道路の整備にのみ注目するその大胆な手法を「街区概成型区画整理」として分析した。 来年度は、2年間のまとめを行うとともに東アジア固有の都市計画像が一体何であるかについて、理論化を図りたいと思う。
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