本研究は、次の二点を研究目的としている。 1.従前の西欧都市計画モデル論を否定し、西欧都市計画も、特殊西欧的な社会条件、歴史的条件の下で成立したものであることを明らかにし、西欧近代都市計画を「相対化」すること。 2.その上に、日本を含めた東アジアに固有の新しい都市計画像を打ちたてること。 三年間の研究は、次のようにまとめられよう。 1.第一年度は、日本及び韓国の区画整理技法を相互に比較しながら考察するとともに、インドネシアで成功した区画整理の内容分析を行った。 2.第二年度は、台湾におけるクル・ド・サックの失敗の事例を、都市計画技術と社会類型のミス・マッチとして考察すること、1960年代のソウルにおける区画整理技術を街区概成型区画整理として概念化し、成長期社会に固有の技法であることを明らかにした。 3.第三年度は、全体のまとめを行うため、アジアにおける面的整備手法を相互比較しまとめること、日本型ニュ-タウン像構築のための基礎調査を行うこと、そして総括論文として「日本を基軸に世界都市計画の構図を描く」を発表した。 全体を通じ、成熟社会を背景にした西欧型都市計画と社会変化の激しい時代に成立した日本都市計画、東アジア都市計画というとらえ方をしている。
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