研究課題/領域番号 |
62450082
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
倉内 宗一 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70143633)
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研究分担者 |
鈴木 幹俊 東京農工大学, 農学部, 助手 (90014969)
小野 直達 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015094)
井上 完二 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014909)
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キーワード | 世代交替 / 規模経済 / 農地貸借 |
研究概要 |
1.統計分析によって得た知見。(1)農地貸借は田畑とも増加しているが、田は5ha以上の大規模層への借地集積が進み、畑は全体として移動量(率)が多い傾向にある。(2)経営部門別では、部門規模の拡大とともに借入農家率と借地面積率が高まるのは、水稲作、普通畑作、酪農、繁殖肉用牛、養蚕、野菜の土地利用型農業、そして施設型の施設園芸、肥育牛も微弱ながら同様の傾向を示す。一方土地利用型でも果樹は上とは全く逆の統計的規制性、施設型の養豚は特定規模を超えると上と逆の傾向をそれぞれ示す。(3)田作経営ではおよそ5ha、畑作では2haを超えると、借地率は10%を超え、農業労働力構成もしっかりしたものになるので、今後の農業動向の一基準がこの規模層にあると判断されうる。 2.実態調査分析によって得た知見。(1)畑作地域の農地移動は、田と同様に貸借が主流となっているが、遠郊の平坦畑作地の貸借が特に活発で、契約の長期化と法ルートへの登場もある程度進展しているが(南九州)、農山村・山村の養蚕主力地域では、借地は必ずしも活発化せずに桑園の荒廃が多発している(岩手県大東町等)。一方、近郊畑作地の貸借は、離農貸付と借地拡大を鮮明にして進展しているが、法ルートへの登場は必ずしも多くない(千葉県)。(2)借地拡大層は、農業労働力構成が相対的に良好だが、しかし農業後継者を確保していない農家も少なくない。(3)畑の小作料は、当該地域の主力作物の収益性に規定される傾向にあり、田と比べて一般に低く、特に地代形成力の乏しい飼料作を中心にして、使用貸借がかなり広く分布している。 3.総合的考察。 本年度は主として畑作地域の分析をしたが、田作と同様に世代交替が農地移動の有力な契機となってきたこと、現借地農家のかなりの部分は農業後継者不在であることから、今後の世代交替期をむかえて、より以上の激しい構造変動が起ると判断される。
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