研究課題/領域番号 |
62450082
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
倉内 宗一 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70143633)
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研究分担者 |
鈴木 幹俊 東京農工大学, 農学部, 助手 (90014969)
小野 直達 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015094)
井上 完二 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014909)
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キーワード | 世代交替 / 小作料水準 / 農業経営形態 |
研究概要 |
1.最近の不況と経済回復・拡大の過程と、農家就業動向調査による農業就業人口の流出・流入の量及び率を対比すると、農業の景気に対する労働力調整池的機能はなお多少あるとはいえ、その機能は著しく減退していることが確認できた。農業就業者は、ごく少数の若年農業専従者と多数の中高年齢従事者で構成されている。この構成は、ME化による若年労働力に対する労働力需要の旺盛化と中高年齢層に対する需要の後退傾向を示す農村労働市場再編の基調とは、いわばマッチしなくなっていること、農業の機械化や零細農業経営の所得寄与力の低下の為に農業への労働力吸収余力がなくなっていること、以上の要因がその背景にあると判断される。農業構造は、その限りで、農業内的要因によって動く傾向を強くしたといえる。 2.農地移動は、賃貸借による傾向をこの間も益々強めている。(1)その際の小作料水準は、低下の傾向を示すことが統計分析によっても確認され、昨年度までの実態調査結果を裏付けることができた。(2)実態調査結果を通してみると、現在の農地の借主の多くが、将来は世代交替によって貸主に転すると自から見通すか、或いは客観的にそう考えられる状況にある。(3)またその世代交替は、高度成長下において若年層に対する労働力需要が比較的短期間に全国に拡大したため、地域間にそれほど大きな時期差はみられない。(4)兼業化が一早く進んだ地域では、農地賃貸借はかなり進展しているが、上の(2)の事情から地域農業の担い手確保が深刻な問題となりつつある。が、それは(3)の事情もあり、早晩他の地域に及ぶと考えられる。(5)従来、農業継承の役割をしてきた農家が、その役割を担えなくなったことを意味する。農家以外の経営形態が模索されつつあるのはこうした事情を背景にしている。
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