研究概要 |
1.日本語教材ー外国語を思考のよりどころとしている長期在外生を対象とし, 日本語力を考察した応分の教材を以下の3項目に従って開発中である. (1)日常的に使われることばでありながら教科書には出てこないことばの習熟をねらいとする教材. (2)日本語の特色をさまざまな用例を通して理解することをねらいとする教材. (3)ことばの微妙な働きを踏まえて的確な表現活動をすることをねらいとする教材. 2.国語表現教材ー帰国生が苦手とする象徴的な表現や微妙な感情表出の理解力をつけ, 日本文化論的視点を養うように現代文の教材を開発する中で, 表現の基本を身につける学習の必要が出てきた. 要約・視点・構成などの項目に従って日本語力に応分でしかも興味関心のもてる教材の開発, およびそれらを基にした一連のカリキュラムを試作し実践中である. 3.現代文教材ー種々の教材を実際に授業で試用した結果, 海外帰国子女の特性を伸長するためには以下の2項目を考慮する必要があるとの結論に達している. (1)人間のもつ自己中心性を知り, 自己の体験を客観的に見つめ直すことのできる教材. (2)さまざまな文の特質を論じた教材などが有効である. 今後もこの方針に従って教材の開発を続けていく. 4.古文入門教材ー帰国生が身につけていない日本文化の知識を補うとともに, 帰国生の感情や思考を発展させられるような配慮をして, 以下の2項目の視点から教材開発を進めている. (1)視覚に訴える部分を利用した教材. (2)創作を導入した学習にふさわして教材. 幅広いジヤンルや時代を視野に入れながら, 入門期の次の段階の教材の開発も試みていこうとしている. 以上の1から4の各分野に従って教材の開発, 指導法の工夫を試みつつ, 実践を繰り返しているところである.
|