研究課題/領域番号 |
62460005
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉川 敦 九州大学, 工学部, 教授 (80001866)
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研究分担者 |
谷口 説男 九州大学, 工学部, 講師 (70155208)
渡辺 寿夫 九州大学, 工学部, 教授 (40037677)
国田 寛 九州大学, 工学部, 教授 (30022552)
西野 利雄 九州大学, 工学部, 教授 (30025259)
川島 秀一 九州大学, 工学部, 助教授 (70144631)
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キーワード | 非線型幾何光学近似 / 弱解の漸近展開 / 実補間空間内の陰関数定理 |
研究概要 |
平成元年度は、昭和63年度と引き続き、準線型双曲型保存系(偏微分方程式系)の初期値問題の解の漸近的な構造の解明の研究を行ったが、やや視点を改めて、小さな初期値に対する強解の構造の調査を合せて行った。後者の場合は、非線形性よりも双曲性の効果が強く現れることが、形式的な解の展開から予想されるが、そのことを厳密に主張するためには在来の双曲型方程式の解の存在証明だけでは不足のように思われたので、別種の証明を検討中である。基本的には、ヒルベルト空間枠でのナッシュの陰関数定理を構築し、線形の双曲型評価と組み合わせて、精密な解の評価を得るという手法の適用を試みた。事実、陰関数定理が一般の実補間空間でも成立しうるということは、そのためのスキ-ムの有効性とともにすでに確めてはある。(未発表)準線形双曲系の場合も非線形性の効果が強過ぎない程度のソボレフ空間の階梯に対して適用できる。(最終的な検証は現段階では完成していない)。特に、本年度は、このための基礎的な一般的な評価の改良、精密化を継続し、論文としてOn expansions of commutators acting in the Sobolev scale(投稿済み)にまとめ、その応用をNote on the Taylor expansion of smooth functions defined on Sobolev space(投稿済み)に述べた、これらの評価から陰関数定理のスキ-ムの各段階の評価が得られるのであるが、詳細は後日発表する予定である。なお、漸近解の構成については、単純波解に相当する解も概念的には想定できることを本研究の初年度にすでに気付いていたが、この方向では十分な進展を得ないまま、当研究の最終年度を終えることになったのは残念である。
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