研究分担者 |
谷口 雅彦 京都大学, 理学部, 助教授 (50108974)
小谷 眞一 京都大学, 理学部, 助教授 (10025463)
西田 孝明 京都大学, 理学部, 助教授 (70026110)
足立 正久 京都大学, 理学部, 助教授 (50025285)
池部 晃生 京都大学, 理学部, 教授 (00025280)
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研究概要 |
確率解析の基礎理論としてWiener空間上の解析学を研究した. このためWiener空間上の関数の作るSobolev空間を定義したが,これには古典的なWiener汎関数にならないもの,すなわちSchwartz超関数の類似で超Wiener汎関数というべきものが含まれる. そして有限次元空間に値をとるWiener写像がMalliavinの意味でC^∞かつ非退化のとき,この有限次元空間上のSchwartz超関数がこのWiener写像によって引き戻されて超Wiener汎関数を定義することを示した. この超Wiener汎関数の一般化された平均によってこのWiener写像の確率分布密度が表示され,この表示を通してこの密度関数の詳細な研究が出来る. 特にそのパラメーターに関する依在性がこの方法によって有効に研究されることが判った. その重要な応用例は多様体上の熱方程式の基本解の場合で,このときWiener写像は確率微分方程式の解として与えられ,そのDiracデルタ関数の引き戻しの一般化積分として基本解が表示される. この表示を用いて基本解の時間をOに近づけたときの漸近性質をしらべることが出来,この方法によって,例えば古典的複体でのAtiyahーSingerの指数定理,Lefschetz不動点公式,Morse関数に関するMorseの不等式やVector場に関するPoincareーHopfの定理等を統一的に証明することが出来た. 確率微分方程式については,Wentzellの境界條件をもつ方程式に対して,関数空間に値をとる点過程の方法を用いることにより,従来判っていなかった場合にまで解の存在と一意性が証明できた. 統計物理や数理生物学の関連ではランダムなポテンシャルをもつシュレデインガー方程式のスペクトル理論や,木村の提唱したintergroup selectionのある集団遺伝学モデル関し,解析および確率論の両面から研究が行われ多くの有益な知見が得られた.
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