非線形力学系としての天体現象の解析

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62460010
• 研究機関: 近畿大学
• 研究代表者: 海野 和三郎 近畿大学, 理工学総合研究所, 教授 (30011414)
• 研究分担者: 三上 孝雄 大阪学院大学, 経済学部, 助教授 (00190603) ; 小山 晃一 近畿大学, 教育研究所, 助手 (70170397) ; 木口 勝義 近畿大学, 理工学総合研究所, 助教授 (80153071) ; 湯浅 学 近畿大学, 理工学総合研究所, 助教授 (80158328)
• キーワード: 非線形力学系 / 天体カオス現象 / 博物学の数学的基礎 / 質量放出星

研究概要

1.天体カオス解析の数学的基礎
次頁以下の文献表の(6)(10)(12)が該当する。文献(10)は、ブラックホールと目されるCyyX-1のX線変動が5次元程度の次元を持つ力学系としての振舞を示すことを調べたものであるが、雑音の多いデータからの次元決定法を提唱した。(12)は、同じくデータが欠測のある場合など不完全な系に対して、力学系の振舞を主成分解析によってきめる試みである。更に、(6)は、新しい学問分野をつくる際に、主成分解析、クラスター解析の有用性を述べたもので、今後の学問の分化発展の方法序説となることを期待する。
2.質量放出星の研究
文献表の(1)(2)(3)(4)(9)が関連する。ただし(4)は球対称輻射場の簡明な解を与える論文で、(1)(9)の質量放出量の距離決定法に利用した。(1)(9)は、星の電波分子分光学を自前で確立させるべき、第一級の距離決定を提唱したものである。COやHCNの線幅と全輻射等級から距離が求まる。(2)(3)は、野辺山電波天文台45m鏡での観測の成果の一部である。双極流を示す赤外線星の存在の発見はわれわれのVHgaが最初である。質量放出星全体を一つの系とみなし、その進化に伴う変動を研究する当初の目的は、よいスタートを切り、目下進行中である。
3.その他の天体動力学系の研究
文献表の(5)(7)(8)(11)が該当する。(5)は太陽対流層の乱対流の問題、(7)は不規則・半規則変光星を非線形力学系の興味ある実例としてリバイバルさせる計画、(8)は恒星形成の舞台の動的変動、(11)は半分離連星系の質量エネルギー輸送の問題をそれぞれ議論した。これらはいずれも独立した研究テーマであるが、宇宙のカオス的変動の相ないし実例として、本研究を支えるものである。

研究成果

• [文献書誌] W Unno. 他: Atmospheric Diagnostics of Stellar Evolution eds K.Nomoto,Springer Verlag. Proceedings.183-184 (1988)
• [文献書誌] T.Tsuji 他: Astroplrys.J.327. L23-L26 (1988)
• [文献書誌] M.Ohishi 他: Astrophys.J.329. 511-516 (1988)
• [文献書誌] W.Unno.: Publ.Astron.Soc.Japan. 41. 127-131 (1989)
• [文献書誌] W.Unno. 他: Publ.Astron.Soc.Japan. 41. (1989)
• [文献書誌] W.Unno.: Science and Technology(Kinki University). 1. 41-47 (1989)
• [文献書誌] M.Yuasa. 他: Science and Technology(Kinki University). 1. 59-62 (1989)
• [文献書誌] M.Kiguchi.: Science and Technology(Kinki University). 1. 63-69 (1989)
• [文献書誌] W.Unno.: Publ.Astron.Soc.Japan.
• [文献書誌] W.Unno. 他: Publ.Astron.Soc.Japan.
• [文献書誌] W.Unno. 他: Astrophys＆Space Science.
• [文献書誌] 湯浅学 他: Pabl.Astron.Soc.Japan 第20回天体力学研究会集録(和文). 133-142 (1987)