Cyg.Xー3等の特定天体を迫尾して、その方向から来るミュ-オンの頻度の時間変化や、個々のミュ-オンの運動量と電荷の正負を長時間・連続的に観測するのが本研究の目的である。昨年度までに、基礎的な測定を完了し、昨年度末から本観測のデ-タが出た。本年度は最終年度に当たり、本格的なデ-タの収集を目指し、迫尾の空き時間を利用して装置を部分改良し、計画通りデ-タと成果が得られた。 迫尾の主目標は、Cyg.Xー3に設定したが、これについては、3日分の欠測をはさんで180日以上の有効な連続観測がなされた。空き時間には、Cyg.Xー3以外の天体を模擬的に迫尾し、また、様々の天頂角に固定して測定することにより、基礎的デ-タを充実させた。また、電磁石の磁場強度の正確な決定と、装置の設定精度を上げることにより30GeV/c以上の運動量の測定精度を向上させた。 運動量別の到来頻度観測がなされ、運動量別・電荷の正負別の天頂角依存性について新たな知見が得られた。また、Cyg.Xー3の到来頻度を運動量別に位相解析して、ある運動量範囲で、位相.6〜.65において、統計的に有意な頻度の増加が認められた。これらの暫定的な結果は、それぞれ、第21回宇宙線国際会議(豪州アデレ-ド、1990年1月)で発表された(HE4.6ー12、HE4.6ー11印刷中)。
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