研究概要 |
1. 1.5〜30K用測定装置の製作: 新しく低温比例計数管装置を作り液体ヘリウム相からのヘリウムガスのポンピングにより4.2K以下の温度に冷却して比例計数管の特性を調べる実験を行った. 低温冷却技術がまで未熟で温度下限は3.4Kまでしか到達出来なかった. 予定の1.5Kまで下げるには金属クライオスタットの構造を変える必要のあることが分り現在新しいクライオスタットを設計中である. 今回の一連の実験で比例計数管は4.2K以下の低温でも働き, むしろ温度が下れば特性がより安定になる傾向にあることが分った. このことは2.で述べる理論解析で我々が予想していたことと一致する. 新しい金属クライオスタットが出来るのを持って極低温でのガス増巾率の精密な測定を行う予定でいる. 2. 低温での比例計数管の動作機構の理論的解明: 現在知られているヘリウム原子分子の衝突素過程のデータを基にして比例計数管の増巾過程を説明するための局所放電に対する理論モデルを作った. このモデルを使い0ー295K内の種々の温度でのガス増巾率の計算を行った. 測定で得た5Kと77Kでのガス増巾率曲線と計算とはかなり良く一致している. 我々の理論モデルは4.2K以下の比例計数管の特性を予想するのに役立っている. 低温でのヘリウムガス中の放電機構およびガス増巾率に関する計算結果をまとめて投稿中である. 3. 共鳴電子メスバウアー分光への応用: 新しくメスバウアー分光装置を作り, 3.5Kまでの低温で各種試料の測定を行っている. 特に酸化鉄表面層に関して興味深いデータを得た.
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