研究概要 |
体心正方晶の(RE)(Rh_<1ーx>Ru_x)_4B_4では, Rhーrich側では反強磁性超伝導体であるのに対し, Ruーrich側では強磁性体となる. この系でREがTmについては, 磁性はほとんど調べられていなかった. 我々はRhーrich側のTm(Rh_<0.9>Ru_<0.1>)_4B.ナ_<4.ニ>の定を行なった. この結晶は, 超伝導転移温度T.ナ_<c.ニ>=8.18K,ネール温度T.ナ_<N.ニ>=0.5Kの反強磁性超伝導体であることが解かった. また, 大きな磁気異方性が観測され, C軸は強い磁化困難軸である. C面内にも磁気異方性が存在し, 容易軸は[110]である. このような磁気異方性は上部臨界磁場H_Gに強く反映し, C軸向のH_Gは非常に大きく, 容易軸の[110]方向で最小値をとる. さらに, C面内のH_Gの温度依存性が, 温度の低下とともに, 負の曲率から正の曲率へと移り変わる特異性を示すことを見出した. このような特異な温度依存性を, この化合物の磁化過程と関連づけて説明されることを示し, また, 超伝導が磁場によって強性的に誘起される強磁性とも共存することが可能であることも実験的に明らかにした. 一方・Ruーrich側でTmRu_4B_4においても, T_c=200mKをもつ超伝導体であることも見出した. 他の(RE)Ru_4B_4から推測される強磁性との関連で興味が持たれ, 現在, 単結晶の作製を行ない, TmRu_4B_4の超伝導と磁性の相関を調べている. 以上, 本年度は, REがTmについて, Rhーrihc, Ruーrichの両側での試料を作製し, 磁性と超伝導の相互作用に基ずく特異な性質を見出し, その原因を明らかにした.
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