研究概要 |
光のアンダーソン局在は電子のアンターソン局在とどの様に違うのか,又アンターソン局在はランダムポテンシャル中の量子現象で拡散係数が零になることを意味するが,光(フォトン)は古典的にも非弾性散乱による局在現象を持ち,光でのアンダーソン局在が実験的に観測されるのかということを明らかにすることが本研究の目的である. 我々は最初にレーザー光によるラテックス水溶液の散乱をテテックスの微粒子の半径を変化させることと,レーザーの波長を変えることにより,前方散乱及び後方散乱光の強度の変化を測定した. レーザー光の半導体レーザー(可視光領域GaAs)を使い,温度を液体ヘリウムまで冷やすことにより波長がほぼ連続的に変化することを確め,ロックインアンプを使用して散乱光の入射光に対する角度分布を得た. セル形状に依存した結果ではあるが局在領域が存在することを確めた. 特に理論的に予想される後方散乱の狭い角度範囲での散乱強度の増加が見られアンダーソン局在の弱局在領域を実験的に調べることが可能であることが判明した. その詳しい測定は現在進行中である. また我々はマイクロ溶の実験も行いつつある. もう一つの光のアンダーソン局在の興味は光特有の偏光に関した性質の研究である. 光ファイバーにHeーNeのレーザー光を偏光面を一定にして進入させ,その偏光面の回転を調べる実験を行なった. これはベリー位相と呼ばれることとも関係しているが,光ファイバーをある一定の角度で一回転させると入射光の偏光面が回転する. この性質を実験的に確かめ,光ファイバー内での光のアンダーソン局在を測定しようとするものであ. 特に磁場の影響を測定することに興味があるが, 現時点で進行中である. また超伝導微粒子による光の散乱も実験中である. 我々は光のアンダーソン局在は電子の局在とは違った物理的に興味ある問題を含んでいることと見い出した.
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