光のアンダーソン局在の実験を行い理論的考察との比較を行った。ラテックス溶液によるレーザー光の散乱から、ラテックスをランダムな散乱体とした時の光の局在の影響を調べた。特に、入射光と同じ角度に後方にもどる後方散乱光の角度分布から、角度零を中心に狭い領域で強度の増加が観測され、その強度は、バックグランドに対して約2倍であることが測定された。これは時間反転した光路も散乱光に同じ様に寄与する為である。又、これは電子系で議論された時間反転した項と同じで、磁気抵抗の項と同じ物理的意味を持つものである。電子系の場合と同じに、時間反転を破る対称性を持つ効果はこの時間反転対称性の光路をインコヒーレントにするので、強度の増加を弱まる。我々は偏光板を偏光しているレーザー光に対して角度を持たせて入れて、その影響を調べた。レーザー光と平行の場合は一番強度の増大が大きく、90度の場合は一番強度の増加が小さいことが判った。これは偏光が時間反転を破るものであることと関係している、我々は更にピークでの強度のゆらぎを測定し、パックグランドでのゆらぎに対して大きいことを見い出した。これは後光散乱光のスペックルのゆらぎと関係していて、後方散乱光が大きい領域でコヒーレントになっていることを示していると考察された。このゆらぎをフーリエ変換し、その性質を調べ、後方散乱光の強度の統計分布を求めた。強度の統計分布はアンダーソン局在と関係している。その理論的考察も行った。また、ラテックス溶液ではない酸化チタンの固体のランダム散乱体も用いて同様な後方散乱の測定を行い、統計的ゆらぎの研究を行った。
|