研究課題/領域番号 |
62460036
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山岸 昭雄 大阪大学, 極限物質研究センター, 助教授 (10006273)
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研究分担者 |
堀 秀信 大阪大学, 理学部, 助教授 (20028244)
植田 千秋 大阪大学, 教養部, 助手 (50176591)
伊達 宗行 大阪大学, 理学部, 教授 (80028076)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 液体酸素 / 2分子対遷移 / 退色 / 強磁場 / 磁気体積効果 / 超伝導マグネット / 常磁性液体 / 液面 / 磁気流体 |
研究概要 |
本研究は2年間に渡り常磁性を持つ液体酸素の強磁場中における動的な振舞を実験的、理論的、また視覚的に検討、考察したものである。液体酸素の磁性については古くから研究が行なわれ、現在では特に注目を集める物質ではなくなっていたが、強磁場中では様々な予想外の現象の起ることを見出した。先ず液体酸素特有の淡青色(2分子対遷移による750nm、630nmの吸収)が強磁場下では「退色する現象」である。定性的には^3Σg^3Σg→^1Δg^1Δgの遷移において外磁場によりスピンの向きが揃えられるためにより禁制度が強くなるためと考えられる。これを実験的、理論的に解析した。この解析の過程で第二の「磁気体積膨張効果」が予想され、見事に実験的に証明することができた。酸素分子間には反強磁性相互作用が働いているが、強磁場によりスピンが揃えられると分子間には反発力が働き、分子間距離が広がるものであり、分子間相互作用と木原ポテンシャルを考慮に入れて解析すると実験事実とよく合う結果が得られた。この体積膨張は青色消失効果にも影響を及ぼす。しかしながらこの効果を取入れてもなお青色消失効果の実験データは理論値を上回り、その解釈にはさらに展開が必要となった。様々なモデルの検討の後、最終的には「スピンペアモデル」に到達した。これは相互作用(衝突)する酸素分子2個の対のみに着目するものでこの分子間の距離は他の分子からの距離に比べ十分短く、他分子の影響は無視できるとするものである。このモデルの解析によりフィッティングパラメータはあるものの実験データを十分に説明することができ、常磁性液体酸素の振舞を理解することができた。さらに体積膨張の実験中に細管中の液体酸素の表面が磁場により変形する現象が見つかった。これは重力と表面張力により決められている液面の形に磁気的な力が加わるため反磁場効果によりその形が変わるものと考えられる。この様子は視覚的に捕えるためビデオ、写真に納められた。
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