研究課題/領域番号 |
62460046
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武田 喬男 名古屋大学, 水圏科学研究所, 教授 (60022604)
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研究分担者 |
加藤 内蔵進 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助手 (90191981)
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キーワード | 層状雲の氷晶化度 / メソスケ-ル雲群の構造 / 長続きする積乱雲 / 傾圧性 / 南からの水蒸気流入 / 雲分布の変動 |
研究概要 |
本研究は、暖候期の日本南部を通過する低気圧に注目し、低気圧周辺の雲と降水の分布、発達過程など水循環過程を、各種人工衛星、各種レ-ダ、密な地上雨量観測網などのデ-タを用いた多面的な解析により明らかにすることを目的として行われた。本年度は3年計画の最終年度として次の研究を行った。1.これまでの研究で明らかにされてきた低気圧周辺の2つのタイプの層状性降水雲--中層雲単独で存在し、氷晶化度が小さく降水粒子形成効率のよくないもの、中層雲と上層雲とからなり、上層雲からの氷粒子の供給により雲システムの氷晶化度が大きく、降水形成効率のよいもの--は、春季の低気圧の層状雲の主要な部分である一方、梅雨期ではそれ以外のタイプの層状雲がしばしば存在することが示された。2.3次元数値モデリングにより、数10Kmの大きさの積乱雲群内で長続きする積乱雲が形成される過程を調べた。その結果、積乱雲群がある程度維持されると、下層の強い冷気流も維持されるため、ス-パ-セル型の積乱雲ができ易いことが示された。3.日本周辺の雲群の分布の変動について衛星デ-タを用いて調べたところ、雲頂の高い雲群でも、層状性のものと対流性のものとで異なる時間変化(数日スケ-ル)を示すことが明らかにされた。これは傾圧性と南からの水蒸気流入のそれぞれの変化に対応した雲群の変動があることを示唆する。4.暖候期の数100Kmの大きさの雲群のうち、特に寿命が12時間を越える長寿命の雲郡を解析した結果、雲頂の高い雲部分のなかで、特に対流活動の活発な雲部分の占める割合が短寿命のものとは異なること、大陸上と日本上で異なることなどが示された。これは雲群の構造、発達過程の違いを示唆する。5.これらの成果も含めて、3年間の研究成果の総括を行った。
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