Si(111)結晶表面、および蒸着炭素やガラス非晶質表面に1〜10nm厚のインジウム(In)、鉛(Pb)、銀(Ag)の薄膜を分子線蒸着法やスパッタリング法で形成した。 反射高速電子線回析(RHEED)と電子エネルギ-損失分光(ELS)により膜の2次元結晶構造と電子状態を調べた。Si(111)表面上のInとPbにおいて、膜厚と温度に関する相図を完成することができた。 その後エピ成長する膜においては、表面原子の価電子あるいは殻準位からの遷移を観測できたが、多結晶的になると信号は著しく減少した。透過電子顕微鏡(TEM)において、島状構造の形状と分布を観察し、成膜過程後期で生じる支配的な相互作用として、特にスパッタリングにおいて、イオン衝撃による表面の温度上昇の効果、絶緑性基板上の金属島粒子の帯電効果が明かになった。 実用条件下での膜の耐久性については、主として付着強度と内部応力の観点から測定を進め、近年利用が盛んになった厚さ100nm以下の膜の成膜条件依存やそれらの多層膜構造の組み合せの適性について評価を行なった。内部応力は膜の配向性および膜自体の耐久性と関係があり、スパッタリング成膜過程では圧力への依存が大であった。付着強度の測定値の平均としては内部応力としては内部応力に関係することはなかったが、基板表面の汚れや粗さがひどい場合には外力による応力が集中する原因となり、特にセラミックなどの脆性破壊をする薄膜の強度のばらつきを増大させることがわかった。さらにこれらが、ゼロ〜正のバイアスをかけた場合は真空蒸着膜の構造に近く、負のバイアスを印刷すると島は小粒で均質になり、基板にかけるバイアスにより制御できることを示した。
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