研究概要 |
1.光源色の色刺激呈示装置として, 任意の空間分布, 輝度, および色度の刺激を呈示できるカラーグラフィックシステムを講入し, 観察条件をコントロールできる実験装置として組み立てた. 2.(1)上記のシステムではディスプレイの赤緑青のフォスファの色度点で囲まれる範囲の色光しか呈示できないので, その外側を含めた色度図全域における色光の色の見え方を, 現有のマックスウェル視光学系実験装置を用いて測定した. (2)C1E1976u′u′色度図上でほぼ均等に分布した197点の色光に対して, 120tdの白色参照光と明るさを合わせた後, カラーネーミングを行った. カラーネーミングでは, まず刺激中の有彩色と無彩色成分の比を答え, 次に有彩色成分がある場合には赤黄緑青の中から2色までを選びその比を答えるという手法を用いた. 被験者は現在のところ4名である. (3)測定結果から, 各々の被験者におけるユニーク赤, ユニーク黄, ユニーク緑, およびユニーク青の領域, およびそれらの中間に見える色, 即ち赤と黄が半分ずつ感じられる色等の領域が求められる. 赤と青に関しては, スペクトルに近い部分ではほぼ同じ色度領域をユニーク赤, ユニーク青としているが, 色度図内部の低彩度の色光になると, その色度領域は被験者によりかなり異なることがわかった. 緑や黄に関しては, 色度図内部の点から, スペクトルに近い部分まで, 被験者によってユニーク黄, ユニーク緑と応答する色度領域が異なっている. 3.色度図全域における多数の点の色の見え方を測定した報告はないので, この実験は重要な基礎的データを提供するものである. 今後さらに被験者数を5名程度は増やして, 個人差を考慮した上での色光の色の見え方についての結論を得ることを計画している. 金の装置を用いて表面色モードの実現しそれとの比較も必要である.
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