研究概要 |
本研究の目的は光の超並列情報伝送・処理能力を生かした新しい大規模情報処理システムー光コンピューターのアーキテクチャーを提示し,システム開発の具体的方策を明確にすることである. 昭和62年度の研究により得られた知見,成果は次の通りである. 1.光ディジタルハイブリッド型OPALSの実験システムを作製した. 特に,光の複屈折性を利用した新しい並列画像符号化法と分割鏡アレイを用いた並列相関光学系を考案した. これらはいずれも簡単な光学素子・光デバイスにより構成でき,しかもOPALSの演算能力を高める. 作製した実験システムでは,光ディジタル・インターフェース素子として液晶表示素子とCCDカメラを用いたが,表示素子のコントラストと応答速度がシステムの演算能力に大きく影響することが解った. 特にコントラストの改善は表示素子を光演算システムに応用する場合に重要な課題と考えられる. 2.OPALSを駆動する並列プログラミングの研究を行った. OPALSは汎用並列光論理演算法である光アレイロジックを演算原理に利用する. そこで,光アレイロジックを用いて種々の並列処理のプログラミングを行い,計算機シミュレーションにより動作を確認した. さらに,並列分散処理・スペースバリアントな並列処理の実現方法としてパターン論理を考案し,光アレイロジックの応用分野の拡大を図りその有用性を検討した. 3.並列光演算システムの新しいアーキテクチャーとしてニューラルネットワークを基本とするシステムの検討を行った. 直交変換を利用した連想記憶システムを考案し評価を行った. また,ニューラルネットワークが持つ情報修復能力を用いた高信頼システムを検討した. その結果,多層構造のニューラルネットワークの実現が光演算システムにおいても不可欠であることの知見を得た.
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